サブリース契約のマンションを売る際に気を付けるべき3つのポイント

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購入したマンションを業者に管理してもらい家賃収入を得る「サブリース」。

住宅ローンを家賃収入で賄えるという夢のようなシステムですが、最近では「サブリース契約したマンションを売りたくても売れない」というオーナーからの悲鳴が聞こえ、社会問題にまで発展してしまいました。

少子高齢化となってきた日本では、賃貸物件の需要は徐々に下がり続けています。

しかし、「家賃保証」「サラリーマン大家」という言葉に魅力を感じる人も多く、賃貸物件が増え続けてしまい、需要と供給のバランスが崩れ始めています。

では現在、サブリースを契約しているオーナーがマンションを手放すにはどのような対策をとればいいのでしょうか。

そこで、サブリース契約を結んだマンションを売る際の3つの注意点を紹介します。

1、サブリース契約のシステム

サブリースマンションの売却の注意点を知る前に、まずはサブリース契約についておさらいしましょう。

サブリース契約とは、いわゆる転貸借のことで、又貸しとも言います。

サブリースを運営する業者が居住用マンションを一括借り上げし、賃貸物件として第三者に貸し出す不動産投資のひとつです。

サブリース業者が入居者の募集や解約、クレーム処理などを一括して不動産会社に管理を委託できる便利なシステムのため、オーナーは賃貸経営の知識がなくても家賃収入を期待できます。

「業者にすべてお任せしながら家賃収入が入ってくる」「入居者のクレーム対応をしなくても済む」というメリットがあるため、サブリースマンションのオーナー契約を結んだ人もいるでしょう。

しかし近頃、このサブリース契約が大きな問題を生んでいます。

サブリース契約と空室問題

賃貸住宅を所有した当初、誰もが家賃収入に大きな期待を寄せたと思います。

家賃収入があれば、マンションを購入したときに組んだ住宅ローンの支払いや、毎月の生活費に充てることが可能です。

しかし、賃貸住宅は入居者があってはじめて価値を生むものであり、空室期間が多ければ多いほど、負債を抱える結果となってしまいます。

マンションも消耗品のひとつで、建築時からどんどん劣化していき、価値は下がっていきます。

契約時には「新築物件」と宣伝できても、5年10年と経過するうちに入居者も入れ替わり、だんだん入居を希望する人が少なくなっていくのが現状です。

こうした問題に気付きはじめた人たちが、サブリースマンションの売却を考え始めた結果、さらにここから大きな壁にぶち当たってしまいます。

それは、「サブリースマンションは簡単には売却ができない」という大きな壁です。

2、サブリース契約のマンションを売る注意点と対策3つ

一般に居住しているマンションの比べると、サブリース契約があるマンションの売却は難しいと言われています。

それは、オーナーである貸主よりも、入居者である借主が保護されているからです。

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不動産業には「借地借家法」という法律があります。借地借家法は貸主が借主を守るための法律で、いくら「経済的に厳しいからオーナーをやめたい」と思っても、簡単には入居者を追い出せないと法律で定められています。

サブリースマンションの大家も貸主としての責任があり、借主の生活を守らなければいけません。

また、このような背景から、サブリース契約をしているマンションは売れにくい傾向もあり、相場よりも成約価格が安くなってしまう可能性もあります。

そこで、サブリース契約のマンションを売るときの注意点と対策について紹介しますので、参考にしてください。

1.オーナー都合で入居者にマンションを明け渡してもらえない

 

貸主からサブリース契約を解除する場合は、「解約の申し入れ」と「正当事由」の2つが必要になります。

逆に言うとこの2つがないと、貸主からの解約手続きができないと定められています。

解約の申し入れとは、貸主から「契約を終わらせたい」と貸主である借主に申し出ることが必要です。

そして、貸主が契約を終了させるには正当事由という更新を拒絶できるような借主に認められるきちんとした理由がなければいけません。

そのため、借主に認められないようなオーナーの自己都合で解約手続きを行うことは難しくなります。

サブリース業者が解約手続きに合意しない場合や契約書に期間の定めがある場合には、中途解約することが難しくなります。

そこで、マンションを明渡してもらうためにどうしたらいいか対策みていきましょう。

・正当事由の対策

サブリース業者に解約をしぶられている場合には、正当事由をみつけること、そして契約期間後に解約することが大切です。

正当事由とは「オーナーが家を使うことになった」とか「建物が老朽化した」などの契約を継続することが困難な事情がある場合に認められます。

また「お金を払うから出て行ってほしい」という金銭を支払う場合には、それ単体では解約をすすめられる理由にはなりませんが、正当事由のひとつとして判断される可能性があるとだけ知っておいてください。

また、契約書に記載されてあるサブリースの契約期間を確認してみましょう。

中途解約が可能であれば、解約の申し入れで契約を終了させることも可能です。

しかし、逆に期間の定めがある場合は正当事由による解約手順を踏むことが必要になります。

2.売却金が安くなる可能性も

サブリース契約を解除してマンションを売却するには、契約期間の満了など、時期が断定される場合があります。

売れるタイミングを自分で選ぶことができないため、いざ売却しようと思ったときにマンションの価値が下がっている可能性も出てきます。

また、サブリース契約があるマンションには、売却して名義を変更しても転借権が残り、買手が付きにくい傾向になります。

転借権とは転貸借をする権利のことを指し、サブリース契約をするときに業者が手に入れる権利のことです。

解約には業者との合意が必須となりますので、転借権をどうするのか決めなければいけません。

もし、サブリース業者に契約解除を申し出た際に「売却は認めるけど、転借権は解除しない」と言われてしまった場合、サブリース付きの物件を売却する方向で進めることになります。

しかし、転借権がついたマンションはあまり買手がつかず、売れ残る可能性が出てきてしまいます。

・売却の対策

サブリース付きのマンションは、一般のマンションと比べると売却金が安くなる可能性はありますが、賃貸経営が続けられそうにない場合には、ある程度の金額で妥協することも大切です。

また、賃貸経営をしていると、業者から「家賃が相場に見合わなくなったので減額した方がいい」という減額請求されることがあります。

このときに、業者の言い分に承諾する代わりに解約の条件を変更してほしいなど、こちらに都合がいい条件を提示するのもひとつの手です。

しかし、必ずしもこちらが提示した条件をすんなりと受け入れてくれる訳ではありません。

状況によっては、違約金の請求をされる恐れもあるため、一番おすすめの解約手段はやはり合意解除になります。

もしも、合意解除が難航している場合には、司法書士や弁護士など法律の専門家に解約の相談をしてみましょう。

3.解約申し入れから6ヶ月かかることも

マンションを売るために、サブリース契約の解約について知っておきましょう。

一般的に、賃貸住宅は申し込んですぐに解約できるわけではなく、解約に約6ヶ月以上かかってしまいます。

上記でも少し解説しましたが、これは賃貸借契約を定めている借地借家法によって決められている法律です。

以下、借地借家法の解約についての条文を紹介します。

借地借家法第27条

建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。

引用:借地借家法第27条

借地借家法は借り主を守るための法律のため、貸主は借主をすぐに追い出すことはできず、引っ越しの準備期間などのために、6ヶ月程度の期間を儲けなければいけないという定めがあります。

ただし、この解約期間はあくまで貸主であるサブリース業者と合意できた場合となり、貸主の方から一方的な解約を申し入れたあと、自動的に6ヶ月後に終了する訳ではないので注意が必要です。

・解約への対策

契約時の特約によっては、もう少し短い期間で解約できる場合もあるようです。

特約とは、特別に定めた条件のことで、契約した時点から有効になります。

この特約の内容を確認するために、サブリース契約時に交わした契約書を確認してみましょう。

通常、サブリース解約については「契約の解除」の中の「期間内の解約」という項目に記載してあります。

上記で紹介したように、特約が何もなければ法律通り、解約まで6ヶ月の期間が必要になります。

現在のサブリース解約時期は、契約書の解約要項に記載しているため、再度契約書を確認してみましょう。

一度交わした契約書の内容は後から変更することは難しいため、契約を交わすときには、どんな細かい字で書いてあってもしっかり読んでおくことが大切です。

3、サブリース付きのマンションを上手に売る方法

サブリース契約付きのマンションを売るためには、業者とサブリース解約に向けた話し合いをすることが大切です。

マンションに転借権が付いたまま売却することもできますが、相場よりも安価で販売されてしまう可能性もあります。

また、解約時には違約金が発生したり、業者との合意が得にくかったりすることもあります。

しかし、経済的に不安定なままサブリース契約を続けていくことは、今後の生活に悪影響を及ぼすかもしれません。

あまり得をしない解約であっても、売れるときに売ってしまった方が楽になるという場合もあります。

業者が解約や売却に向けていい顔をしない場合は、司法書士や弁護士、または任意売却業者などを頼ることも考えてみましょう。

また、近年増加しているサブリース問題を解決するために、<a href=”http://www.mlit.go.jp/common/001227720.pdf”>国土交通省と消費者庁</a>では無料相談を受け付けています。

公益財団法人の日本賃貸住宅管理協会や全国賃貸住宅経営者協会連合会のホームページにアクセスし、電話やメールでアドバイスを聞くことも可能です。

サブリース問題をひとりで抱えずに、売却に向けて少しでも動いていきましょう。

4、サブリース問題を解決するために入居者情報を把握しておく

サブリース契約の特徴として、業者に管理を全てお任せできるという点があります。

一般的な賃貸経営の場合、入退去者の管理やクレーム処理、物件の劣化状況の確認などをオーナーである貸主が行うことがありますが、サブリース契約ではそのような管理業務を一切合切お任せすることが可能です。

しかし、入退去者の管理をしないままでいると、だれがどのような賃料でいつ入居したのかを把握することができません。

賃貸経営は入居者がいてはじめて利益を出すことができます。

今後の経営を守るために面倒でも入居者情報を把握し、現在の賃料がいくらなのか、空室期間はどのくらいなのか、知っておきましょう。

また、サブリース契約によっては「貸主に入居者の情報を開示しない」と記載されてあることもあるようです。

業者に開示を請求することもできますが、必ずすべての情報を開示してくれるとは限りません。

このようなことがないよう契約書の内容には、必ず目を通しておくことが大切です。

まとめ

これまで紹介してきたように、サブリース契約はオーナーからの都合で解約することが難しい契約です。

売却時には、「正当事由の必要性」「売却金が安くなる」「解約までの期間」の3つの問題点を考えていきましょう。

法律では貸主よりも借主を守るように定められているため、サブリース業者の合意がなければ解約はとても困難になってしまいます。

そのため、サブリース契約を締結する際には、契約書を良く理解してから捺印するよう心がけましょう。

細かくて見えにくい個所に関する重要なことが記載されている場合もあります。

少しでも気になることがあれば、契約書を交付した担当者に質問をしてください。

家賃保障額が低下しているのにも関わらず契約を継続していくと、どんどん生活が苦しくなってしまいます。

また、すでにサブリース契約を締結し解約したくても業者が取り合ってくれない場合には、司法書士や弁護士など法律の専門家に解約相談をするか、任意売却を検討するのもひとつの手です。

また、国土交通省と消費者庁ではサブリース問題を解決するための無料相談窓口を設けていますので、売却がスムーズにいかない場合には、迷わずに相談してみてくださいね。

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