正しく書かないと効果がない?マンション売買時の委任状の3つの注意点

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「マンションの売却をしたいけれど、体調不良のため契約行為自体が難しい」

「転勤で遠方にいるため、引き渡しなど立ち会うことができない」

このように、マンションの売却を決めたけれど、何らかの事情により、契約することができないとお困りではありませんか?

所有権者の都合により契約行為ができない場合、自分に代わって誰かに契約をお願いすることができます。

自分で行わなければいけない行為を、他の誰かにお願いすることを証明した書類を「委任状」と呼びます。

実は、この委任状はさほど法的効力がないため、委任状があるから全ての権限があるというわけではないのです。

委任状にきちんと必要事項を明記しなければ、正しい効果を発揮することができません。

そこで今回は、マンション売買時の委任状の3つの注意点について紹介します。

1、マンション売買時の委任状の3つの注意点

 

不動産における委任状の役割とは、所有権者に代わって代理で契約を行うことを証明するために使用されます。

代理人は、契約者本人と同じ権限をもち、契約を締結することも解約することも可能です。

しかし、所有権者と同じ権限を持つ代理人が、所有権者の意志に反して好き勝手な行動をとられてはたまりませんよね。

また、実際に代理人に契約をお願いしても、業者としては「この人とはどこまで契約を進めていいのだろうか」と、判断に迷うことも出てきます。

そこで、代理人の権限を明確に決めるために、委任状が必要になります。

ただし、この委任状も万能ではないため、使いどころを間違えると、効力を発揮することができません。

委任状を正しく使うためにも、マンション売買時の委任状の3つの注意点を頭にいれておきましょう。

1、委任状自体に法的な効力はない

代理人が委任状を持って、不動産の売買契約を行うことは可能です。

しかし、委任状自体に法的は効力なく、委任状だけを持参しても場合によっては契約を断られることもあります。

その理由は、契約後のトラブルを防ぐために、業者としても「この委任状は本当に本人の意志なのだろうか」と慎重に判断しなければいけないからです。

そのため、委任状を正しく使うには、所有権者本人が代理人に具体的に何を依頼するのか、委任状の内容を詳細にかくこと、また所有権者の印鑑証明が必要になる場合もあります。

さらに、本人の意志確認として、所有権者への連絡を求められるかもしれません。

このように、委任状単体での法的な効力はなく、他の書類や所有権者の意志を確認してはじめて委任状の効果が発揮されます。

2、用紙は何でもOK!印鑑は必要になる場合が多い

委任状を書くにあたって、用紙の種類はコピー用紙でも藁半紙でも何でも大丈夫です。

ただ、記載すべき内容は非常に重要になります。

記載事項については、下記で詳しく紹介していますが、主に「代理人の氏名」「依頼(契約)内容」「日付」などを記載しましょう。

最近では、委任状の書式をインターネットで無料ダウンロードできるため、活用してみてください。

委任状を作成する際、印鑑は必要になる場合があるため、できれば押印しておきましょう。

印鑑の種類は、認印でも事足りますが実印を押せば間違いありません。

また、委任状と同時に印鑑証明も必要になる場合が多いため、忘れずに添付してください。

認印か実印か判断に迷ったときは、契約予定の不動産会社に確認することをおすすめします。

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3、委任状は本人が死亡した時点で終了

原則として委任状の効力は、所有権者が死亡した時点で効力を失います。

というのも、代理人に契約などを依頼する「代理権」は、本人が死亡または代理人が死亡した時点で効力が失われると民法第111条で定められているからです。

以下に代理権に関する法律を引用したので、参考程度に確認してみてください。

第111条

代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。

一  本人の死亡

二  代理人の死亡又は代理人が破産手続開始決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

引用:民法第111条|wikibooks

例えば、知り合いのマンションの売買契約の途中で所有権者が亡くなってしまった場合は、売買契約を続行することはできません。

ただし、代理人が所有権者の相続人であった場合には、所有権者の権限も相続対象となり、契約を継続できる場合があります。

さらに、相続人が複数いる場合は、契約を続行するかどうかについては、他の相続人の同意が必要です。

この代理権の相続に関しては、個人の状況によって異なるため、こちらに関しても不動産会社に確認してみると確実です。

2、ここまで書けば安心!委任状に記載すべき事項4つ

それでは、続いて委任状に記載すべき内容について紹介していきます。

委任状自体には、法的な効力はないと説明をしてきました。

そのため、「これを書かなければダメ!」というような定めもありません。

しかし、マンションを売買する上で、契約をスムーズに行うために記載してあった方がいい事項はあります。

逆の立場で考えてみてください。見知らぬ人が「委任状を持ってきたので契約をお願いします」と急に委任状を差し出してきた場合、あなたが業者だったら「本当に本人が依頼したのか?」と、まず真偽を確認するのではないでしょうか。

本当にマンションの売却を依頼されたのかどうか、ちゃんと相手を納得させるために、最低限必要な事項を忘れずに記載していきましょう。

それでは、不動産契約において委任状に記載すべき事項をそれぞれみていきます。

1、売買する物件の名称

まずは、正しい物件の所在地を明記しましょう。

物件の住所を書き間違えると、間違った物件の売買契約を進めることになってしまったり、委任状の効果がなくなったりすることがあります。

書くべき事項は、「住所」はもちろん、それ以外にマンションであれば「物件の種類」「構造」なども記載しましょう。

わからないときは、登記事項証明書を発行してもらい、登記に書いてある内容を書き写せば間違いありません。

詳細に記載することで、確実に目的の物件を売るという意思も伝わります。

住所の書き方を知らない人はいないと思うので、物件の種類と構造の書き方について解説していきますね。

・物件の種類

マンションの場合、物件の種類とは「マンション一棟」なのか「マンションの一室」なのかを記載します。

マンションの一室の場合、区分マンションと記載しましょう。

・構造

構造とは、木造や鉄筋コンクリートなど、建物の造りを意味します。

マンションの場合は、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)や鉄筋コンクリート(RC)鉄骨(S)などがあります。

2、売却条件

続いて、一番重要な売却の条件を記載します。

売却の条件とは、「売却金額」「手付金」「引き渡し予定日」「所有権移転登記手続き」など、売却手続きに必要な金銭の受け渡しや権利の移動に関することを明記します。

この売却の条件は、言い忘れや伝え忘れがないように、できるだけ細かく記載してください。

売却金額について、まだ成約になっていない場合は「売却希望価額金△△万円~▲▲万円」というようなおおよその価額を記載しておきましょう。

また、所有権移転登記手続きに関しては、自分たちで行うのか司法書士を選任するのかを記載します。

登記を司法書士に依頼する場合には、司法書士に提出する委任状も必要になるので、忘れずに用意しましょう。

3、代理人の権限

代理をお願いした人にどんな行為に関する権限を与えたのかを明記しておきましょう。

ここの記載を怠ると、業者としても、どこまで代理人と契約を進めればいいのか、迷ってしまいます。

マンション売却の場合だと、売買契約と代金授受を代理人にお任せして、不動産登記は司法書士に依頼するというケースがあります。

この場合、「売買契約と代金授受の権限を委任します」と記入が必要です。

もしも、すべての契約行為を代理人に任せたい場合には、「売買契約の締結に関する一切の権限を委任します」と書けば大丈夫です。

これらの記載がない場合、無権代理人という権限のない代理人とみなされ、契約が無効となったり損害賠償請求されたりする場合があるので、注意が必要です。

4、代理人と所有権者の氏名

 

最後に、絶対に忘れてはいけない「代理人氏名・住所」と「所有権者の氏名・住所」を必ず記載してください。

代理人と所有権者は、どちらを先に記載しても構いませんが、代理人を先に書く場合は「私は、上記のものを代理人とし、権限を委任します」と一筆書いておきましょう。

逆に、所有権者を先に書く場合には「私は、下記のものを代理人とし、権限を委任します」と、どちらが代理人なのか、明記しておいてください。

また、氏名の横には押印が必要です。

押印は認印でも効力がありますが、二度手間三度手間にならないように、はじめから実印を使うと確実です。

所有権者の実印を証明するための、印鑑証明書の提出を求められる場合も考えて、あらかじめ印鑑証明書を持参しておいた方がいいでしょう。

3、白紙委任状の効力は?後で書き加えることも可能

委任状には、依頼内容を詳細に明記した方がいいと解説してきました。

しかし、委任状の内容をあえて記載しない「白紙委任状」というものがあります。

白紙委任状は、あとで好きなように記入できることから、すべての権限を代理人に委任したという意味で捉えられる場合もあります。

ただし、白紙委任状は表見代理人という「権限がないのに権限があるように見せかけている代理人」という括りで処理されてしまう場合も考慮しなければいけません。

この、見せかけの代理人のことを「表見代理人」と言い、その代理行為は相手方が善意無過失の場合、契約が有効に成立します。

どういうことかというと、例えば表見代理人が所有権者に許可も得ていない物件の売買を行ったとします。

相手方が表見代理人に権限があると信じており、かつ相手方に過失がなかった場合は、所有権者の意志に反する不動産売買は有効となるのです。

代理人が勝手に無断行動を起こさないよう、できるだけ白紙委任状は避けましょう。

4、契約が終わっても責任は残る!受任者には善処義務あり

代理人に売買を委任し無事契約を済ませたと思ったら、代理人にミスがあり所有権者に迷惑がかかってしまう、なんてこともあるかもしれません。

代理人にとっては、契約後のトラブルには関わりたくありませんよね。

しかし、代理人はミスに対し対応しなければいけない善処義務という責任を負わなければいけません。

善処義務が生じるのは、売買契約に支障がでる恐れがあるような急迫の事態などです。

契約が終わっても代理人の責任が残る場合があるため、ミスのないように契約を進めていきましょう。

まとめ

マンション売買時に必要な委任状は、「委任状自体に法的な効力はないこと」「用紙はコピー用紙でもいいこと」「本人が死亡したら終了」ということに注意してください。

委任状の作成にあたっては、不動産会社が間違えないように「物件の名称」「売却条件」「代理人の権限」「代理人と所有権者の住所氏名」を詳細に明記しなければいけません。

また、代理人が好きに記入できる白紙委任状というものもあります。

しかし、白紙委任状は代理人が所有権者の意志に反して行った行為も有効になる場合があるので、できたら白紙の委任状は避けた方が無難です。

代理人と所有権者は、深い信頼関係がなければ成り立たない関係です。

お互い嫌な思いをしないように最後まで責任を持った行動を心がけましょう。

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