家を売却する時に知っておきたい「路線価」と「実勢価格」とは?

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路線価という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

家を売却するときにこの路線価を知っておけば、自分の家がいくらで売れるのかがわかるようになります。

ただし、路線価がイコール不動産相場というわけではありません。

路線価を基に実勢価格(実際に売買される価格)を割り出すことで、より具体的な不動産価格を知ることができます。

不動産業者に査定を依頼した場合もこの路線価を使って実勢価格を算出し、他の取引事例と比較して売却価格を決定している場合がほとんどです。

路線価と実勢価格はどういうものなのでしょうか。

具体的な路線価の見かたを交えて実勢価格の計算方法をご紹介します。

1、路線価は家を売却するときの査定に使われる

家を売却するときは、まず不動産業者に依頼して売却査定を行うのが一般的です。

不動産の査定は、いったい何を根拠に評価しているのでしょうか?

不動産の査定をするにあたり、いくつかの評価方法がありますが、主に利用されているのが路線価です。

路線価を基に不動産の実勢価格を割り出すことで、具体的な売却価格を査定することができます。

路線価とはどういうものなのでしょうか。

1、路線価ってなに?

路線価は、主要な道路に面している宅地の1平方メートルあたりの評価額のことです。

路線価は相続税や贈与税を算出するときの基準として使われています。

もともと土地や建物など、不動産の価値には定価というものがありません。

通常は不動産の売買をしたときや、相続・贈与などがあった場合は、国から税金が課税されます。

しかし、土地や建物の価格が不明のままだと税金の計算をすることができません。

まさか国が税金の計算をするために、毎回不動産業者に土地・建物の評価をお願いするわけにはいかないので指標となるものが必要になります。

そこで、国土交通省が地価を定めて公示することで、不動産の評価が誰にでもわかるようになりました。

これを公示地価(または地価公示)と言い、路線価はこの公示地価の80%を目安にして、国税庁が毎年発表しています。

不動産の査定は公示地価ではダメなの?という疑問が出てきそうですが、確かに公示地価も毎年発表されてはいます。

しかし、公示地価は、標準地という代表的な地点にしか価格が決められていないのです。そのため標準地以外の価格を知りたいときは、路線価を使わなければなりません。

路線価は国税庁のwebサイトから確認することができます。

実際に、路線価図を見て確認してみましょう。

(画像参考⇒国税庁 路線価図

東京都多摩市の路線価図の一部を抜粋してみました。

赤い丸で囲んでいる「120D」という部分が路線価です。

これは宅地1平方メートルあたり12万円を表しています。

あとは実際の宅地の面積を、路線価に乗じて計算するだけです。

参考サイト⇒国税庁 路線価図

2、路線価は公示地価の80%

前述の通り、路線価は公示地価の80%が目安とされています。

公示地価の発表は毎年3月の下旬ですが、路線価は7月ごろです。

新年度の路線価を早く知りたいときは、公示地価のほうが発表は早いので、これを基に路線価を計算することができますね。

3、路線価は2種類ある

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路線価は細かく2つに分けられています。

もともと路線価は不動産の相続などがあった場合に、税金を課税することが目的として定められたもの。

路線価を使えば自分で税金の計算もできるようになります。

相続税路線価

国税局(税務署)が決定します。その名称の通り、相続税や贈与税の計算をする際に使います。

通常は、「路線価」と言えばこちらの相続税路線価を指す場合がほとんど。

地価公示価格のおよそ80%が目安とされています。

固定資産税路線価

市区町村など地方公共団体が決定。

固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの計算に使用します。

こちらは地価公示価格のおよそ70%が目安。

固定資産税路線価は、資産評価システム研究センターが運営している「全国地価マップ」で確認することができます。

参考サイト⇒資産評価システム研究センター 全国地価マップ

路線価が不動産相場になるわけではない

路線価図を基に査定をしたからといって、それが市場の不動産相場になるわけではありません。

実際に不動産が取引される実勢価格が相場となります。

路線価は土地の価格の指標としては汎用性が高く、税金の計算だけではなく、売買をする土地や建物の評価をする際にも使えるのが良いところですね。

2、実勢価格の意味

実勢価格とは、実際に不動産売買によって取引された価格のこと。

不動産の時価のことを言い、不動産には定価が無いため、取引された金額が実勢価格となります。

売主と買主の需要と供給によって価格が決められており、取引が無い場合は、公示地価や路線価から価格を推定することが可能です。

実勢価格は、路線価を基に計算できます。

路線価は、目安として公示地価の80%なので、そこから逆算しましょう。

また、実勢価格は公示地価の110%程度で想定します。

実勢価格=路線価÷80%×110%

たとえば路線価が宅地1平方メートルあたり10万円だった場合。

対象の宅地の面積は150平方メートルとします。

路線価10万円×宅地面積150平方メートル÷80%×110%=実勢価格2,062万5千円

実勢価格は2,062万5千円。

このように、簡単な計算で実勢価格を導き出すことが可能です。

また、裏付けを取る意味でも実際の不動産取引価格を確認したい場合は、国土交通省が運営している土地情報総合システムが利用できます。

地価公示も確認できるので、ぜひご覧になってみてください。

参考サイト⇒国土交通省 土地情報総合システム

参考サイト⇒国土交通省 不動産取引情報検索

3、あまりにも路線価とかけ離れた売買は要注意

家族や親戚などの身内同士で不動産を売買することもあるでしょう。

たとえば子供が住居の新築を考えていて、親が子供に土地を安く譲りたい。

親戚から使ってない家を安く譲ってもらう。

などといった理由です。

しかし、家族だからといって通常の相場よりも大幅に異なる価格で売買するときは、注意が必要です。

1、税務署に贈与とみなされる可能性がある

もともと不動産売買などの取引は、売り手と買い手がその金額に納得すれば成立します。

しかし、路線価などの価格からあまりにもかけ離れた取引をしてしまうと、税務署に目を付けられ贈与とみなされるリスクがあるのです。

たとえば路線価での土地価格が1,000万円だった場合。

これを親が子に譲るからという理由で100万円で売買してしまうと、差額の900万円はみなし贈与とされる可能性も。

贈与税は年間110万円基礎控除があるので、それを差し引いて速算表を使って計算してみましょう。

みなし贈与900万円-基礎控除額110万円=790万円

790万円×税率30%-控除額90万円=147万円

この147万円が贈与税として課税されることになります。

せっかく子供のために格安で土地を譲っても、147万円も税金が掛かってしまっては意味がありません。

家族や親族間で不動産取引をする場合は、みなし贈与に注意しましょう。

参考サイト⇒国税庁 贈与税の速算表

4、不動産の価値を決める3つの査定方法

家の売却を検討しているとき、自分の家がいくらで売れるのか気になるところです。

そもそも不動産は資産として価値がありますが、定価というものがありません。

特に中古住宅の場合は、どうやって不動産相場が決定されているのでしょうか?

不動産の売却査定が行われる際は、様々な情報を基に売却価格を導き出しています。

たとば、建物の再調達価格を割り出す原価法。

賃貸アパートやマンションなどから、どれだけの家賃収入が得られるか、といった計算をする収益還元法。

過去の不動産取引事例を基に価格を決める、取引事例比較法。

などの方法によって情報を集めて査定しています。

それぞれ順番に説明しましょう。

1、原価法

上で出てきた再調達価格とは、対象の建物をもう一度再建築するとしたら建築費や土地代がいくら必要になるかを想定して、実質的な価格を割り出す方法です。

そこから建物の築年数などを考慮して、経年によって価値が減少した分も計算に入れて現在の価格に置き換えます。

特に古い住宅の場合は新築したときにいくらで建てたのか、またはいくらで購入したのか、などがわからないことがあります。

原価法を使うことで、現在の建物価格を導き出すことができるのです。

しかし木造住宅の場合は、不動産の査定に建物の価値が入れられることは少なく、築年数が20年以上経つとほとんど価格がつきません。

「木造住宅は20年以上経つとほとんど価値が無い」と言われていて、不動産査定の際もその慣例に倣っていることが多いからです。

不動産は建物の現況や場所によって価格が大きく異なります。

また、リフォームやリノベーションなどによって建物の価値が変わるため、築年数だけで建物の価値を決めるのは根拠が無さすぎるのです。

2、収益還元法

これは前述の通り、収益物件の査定を行う際に使われます。対象の賃貸物件が、年間でいくらの家賃収入を得ることができるのか、といった収益性を計算する方法。

基本的に投資用の物件を評価するために使われるので、賃貸物件ではない一般の住宅の場合はあまり使う方法ではありませんね。

3、取引事例比較法

不動産の売却査定で主に使われているのがこの取引事例比較法です。

対象の不動産があるエリアの中で、実際に売買された取引事例を調査して最終的な価格を計算。

過去の取引情報を集め、それぞれを比較することでより現実的な評価を行うことができます。

まとめ

家を売却するときは、自分の家がいくらの価値があるのか気になるところです。

不動産業者に査定を依頼すれば、具体的な売却価格を計算してくれます。

しかし、自分で不動産価格を調べられるようになっておくと、その知識が強みになるでしょう。

たとえば不動産業者が査定見積もりした価格に対して、自分で裏付けを取ることができるようになります。

路線価を基に実勢価格を割り出し、実際に不動産取引がなされた情報を確認して比較していくことで、より具体的な不動産価格を算出することが可能に。

また、この路線価をベースにすることで次に家を購入する際にも実勢価格がわかるようになり、固定資産税を自分で算出することもできます。

過去の取引事例と比較していけば、より具体的な不動産価格が見えてくるでしょう。

不動産には定価というものが無いので、建物の現況やエリアなどによっても価格が変動します。

不動産業者が査定をする際は、データベースだけではなく、こうした現地の状況も考慮して価格を決定していきます。

家の売却を検討している場合は、一度、不動産業者に査定見積もりを依頼してみましょう。

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