不動産を査定する時に必要な書類は法務局で取得しましょう!

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法務局と聞くと、何をやっている役所なのかわからない人も多いものです。

法務局は多くの事務を行っていますが、その一つに不動産関係の情報管理があります。

法務局に出入りする人の多くは、仲介業者や司法書士などの不動産に関係する人たちです。

これらの人たちが法務局で何を調べ、どんな資料を入手しているかを調べます。

法務局を知って、不動産をより深く理解しましょう。

法務局とはどんなところ?

法務局は法務省が所管する役所のひとつです。

法務局のサイトには、「登記、戸籍・国籍、供託等の民事行政事務と訴訟事務及び人権擁護事務を」行っていると掲載されています。

これらの事務のうち、不動産に関係するものは登記事務です。

登記事務は不動産登記と商業登記に分かれます。

不動産登記

不動産登記は、不動産の状況や権利関係を管理する事務です。

どの不動産が誰の所有で、その面積はどれくらいなのか、といった基本的な情報を管理しています。

この情報は手数料さえ払えば誰でも手に入れることができるのです。

土地に名前を書くわけにはいきません。

そこでどこかが不動産の管理簿を管理する必要があります。

それが法務局なのです。

商業登記

株式会社や旧有限会社の登記を行っています。

その会社の代表取締役が誰で、資本金がいくらか、などの基本情報を調べることができるのです。

そもそも、その会社が所在地に存在しているか、という根本的な情報も調べることができます。

会社に関する基本情報を取り扱っている役所なのです。

法務局で査定に必要な資料の集め方は?

かつては法務局に申請書を提出し、印紙で手数料を収める方法が主流でした。

近年は手続きさえすれば誰でもネットで資料を集めることができます。

ネットでも同じ情報が

法務局で得られる情報のほとんどは、ネットでも取得することが可能です。

法務省の「オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について」に詳しく書かれています。

個人でも申し込みをすれば閲覧可能です。

クレジットカードで決済するので便利な制度になっています。

法務局とネットの違い

法務局で取得すると複写防止の紙に印刷された情報を得られます。

また、電子印ではありますが、登記官の印も押印済みです。

登記官が、全部事項証明書の内容が登記簿に書かれていることと相違ないことを証明してくれるのです。

一方で、ネットで取得した全部事項証明書にはこうした登記官の印はありません。

ネットでの情報は、登記簿に書かれた内容を忠実に書き写したもの、という扱いです。

公的な認証がないので銀行での融資審査や不動産売買の資料としては、少々弱くなります。

こうした正式な手続き以外の調査では、ネットでの情報取得が主流です。

かつては混みあっていた法務局もずいぶんと余裕ができてきました。

法務局で取得できる資料

法務局で取得できる資料は主に次の5点です。

  1. 全部事項証明書(通称、登記簿謄本)
  2. 公図
  3. 地積測量図
  4. 建物図面
  5. 地役権設定図面

それぞれ解説します。

1、全部事項証明書は査定の基本

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俗に「登記簿謄本」といわれます。

厳密には、現在交付されるものは登記簿謄本ではないのですが、今も謄本または登記簿謄本でも通用します。

全部事項証明書の記載事項は、その不動産の所有者、面積などの基本的な情報です。

土地ならば分筆や合筆などの履歴、建物ならば構造や階層も記載されています。

日本では全部事項証明書が不動産の根幹をなす資料です。

2、公図(こうず)は法務局で取得できる

公図は土地の配置を示した図面です。

例えば一丁目1番の土地の東側には2番の土地があり、西側には5番の土地がある、といったことは公図から読み取ります。

この公図、もともとは課税用の図面を転用したものです。

さらにそのルーツは明治時代の地租改正時の図面にさかのぼります。

そんな由緒正しい図面なので場所によっては精度の悪いところもあるのも確かです。

つい10年前まで巻物のような和紙の公図も現役でした。

3、地積測量図はあれば査定に便利

地積測量図はすべての土地にあるわけではありません。

分筆といって、土地を分割した場合に作成されます。

土地家屋調査士や測量士が測量して作成するのです。

地番をみると、測量図があるかの目安になります。

○○町1番といった枝番のない住所には測量図のない可能性が高いのです。

○○町1番1と番のあとに枝番があると分筆した証拠。

地積測量図がある可能性が高まります。

4、建物の査定には建物図面があると便利

建物が新築されると、その面積を測量する必要があります。

全部事項証明書に面積を記載する必要があるからです。

建物が完成すると、土地家屋調査士が測量し、建物の面積を確定して保存登記という登記を行います。

その際、面積の測量結果として建物図面を添付することが必要です。

建物のおよその形やどの地番の土地の上に建物があるかを確認するには便利な図面になります。

5、地役権設定図は特殊な図面

土地のうえに電力会社の高圧線が通っている場合、または地下に地下鉄が走っている場合などは、そこに地役権という権利が発生している場合があります。

土地のどこに地役権が及んでいるのかを示す図面が地役権設定図面です。

地役権設定図面は山全体などの大規模な土地の売買では必要になる場合があります。

戸建住宅の取引でも、高圧線が目の前を通っていると重要な図面です。

法務局で不動産資料を集める注意点

法務局は一般の人にはなじみの薄い場所。

そこでの調査はいくつかの注意点があります。

  1. 住居表示に注意
  2. 家屋番号に注意
  3. マンションの部屋番号に注意
  4. 公図の不接合に注意
  5. 間(けん)が単位の図面も

以上の5点にまとめてみました。

1、住居表示に注意

都会では「一丁目1番1号」のように住所を表します。

これを住居表示といって、住所を分かりやすくするために導入されたものです。

この住居表示は、実は地番とは異なっています。

地番は分筆によって新たに振られるものです。

地番1番の隣が10番1、その隣が15番3といった具合に、順番通り並んでいない場所もあります。

こうした不便を解消するために市街地では住居表示が導入されました。

一方で、全部事項証明書や公図は地番で管理されています。

先ほどの「一丁目1番1号」では検索することができず、資料を取得することはできません。

地番と住居表示の称号には「ブルーマップ」を使います。

法務局には「ブルーマップ」と呼ばれる地図が備え付けられているのです。

これで調べると住居表示に対応する地番を見つけることができます。

住居表示を使っていると、地番を知らないことは所有者であってもよくあることです。

調査には少し注意が必要になります。

2、家屋番号に注意

建物には、家屋番号という番号が振られています。

○○町1番の土地の上には、家屋番号1番の建物が建っていることが一般的です。

ただ、これは100%正しいわけではなく、さまざまな経緯で地番と家屋番号が一致していないケースもあります。

建て直しがあると新しい建物には、1番1といった枝番が振られます。

これはまだわかりやすいケースで追跡調査も容易です。

○○町1番の土地の上に家屋番号5番の建物が建っている場合はとても困ります。

こうなると、法務局の窓口に問い合わせないと解決できません。

3、マンションの部屋番号に注意

マンションには101号室といった部屋番号が振られています。

この部屋番号は登記上の家屋番号と一致している場合もありますが、異なっている場合もあるのです。

例えば、管理人室があったり、トランクルームがあったりすると、これらの部屋に家屋番号が振られることがあります。

部屋番号は101号室だけど、調べたら家屋番号は103番だった、というケースはよくあることです。

マンションの家屋番号を調べるには、法務局に問い合わせるのが一番早い方法です。

その不動産を管轄する法務局や法務局の支局に電話で問い合わせると親切に教えてくれます。

「○○町○番の○○マンション101号室の家屋番号を教えてください」とお願いしてみましょう。

すぐに調べて教えてくれます。

4、公図の不接合に注意

公図の中には精度の低い図面もあります。

公図の縮尺は、市街地では500分の1と600分の1が一般的です。

農地や山林では1,000分の1もあります。

このうち、600分の1の図面は注意が必要になります。

600分の1図面は古い図面を基にしたものが多く、精度は高くありません。

土地の形が実際と異なっていることもあります。

昔の測量は、当時の集落の中心から行っていました。

そうすると、隣村や集落の境ではどうしても誤差が出てきてしまいます。

本来は隣り合っている土地でもその間に空間ができてしまうのです。これを俗に公図の不接合といいます。

不接合があって図面上空間があったとしても現実の地面に空いた土地があるわけではありません。

不接合には注意が必要です。

5、間(けん)が単位の図面も

これは建物図面の話です。

昭和30年代に作成された建物図面はメートル法ではなく、尺貫法の単位、間(けん)で書かれたものがあります。

間は約1.8m。

今でも大工さんなどの建築関係では使われる用語です。

「1.0k」と書かれているので1.0mと間違いやすくなっています。

近年作成された図面はメートル法なので問題ありません。

古い図面はすこし注意が必要です。

法務局の調査でわかること

不動産関係の仕事では、法務局調査をよく行うものです。

その調査では以下の4点のようなことがわかります。

  1. 土地や建物の面積
  2. 所有者
  3. 越境の可能性
  4. 境界杭があるか

これらについて解説します。

1、不動産査定の基本情報・面積

全部事項証明書には面積が記載されています。

地積測量図でも確認可能です。

ただし、測量図がない土地の場合、全部事項証明書記載の面積が実際の面積と異なっていることもあります。

農地や山林では特にズレが顕著です。

これは測量の精度の問題もあります。

また、税金逃れのためや売買価格の節約のためにわざと面積を過少申告しているケースもありました。

面積が違っていると正確な査定をすることはできません。

こうした場合は、査定は全部事項証明書に基づいて行い、売買の段階になったら測量をするように所有者に促します。

2、これも査定の基本・所有者

土地や建物が誰のものかがわかります。

真の所有者と登記名義上の所有者が一致していれば問題はありません。

ただし土地の場合、相続登記をせずに何年も経過しているケースもあります。

「明治40年3月20日家督相続により取得」が最新情報という土地もあるのです。

最近問題の所有者不明土地にも該当してきます。

また、兄弟や親せきで共有している不動産もあるのです。

所有者が異なっていたり、共有者が多かったりしても、査定の段階では大きな問題にはなりません。

最終的に販売活動をするには共有者全員の同意が必要です。

真の所有者と名義上の所有者が異なっている場合には、早い段階で一致させることをお願いしています。

3、越境の確認

隣の土地に建物の一部や塀などが越境していることがあります。

逆に越境されていることもあるのです。

また、かつて道や水路であった土地が、敷地の中にある場合もあります。

こうした越境の基本情報は公図や建物図面から読み取り、現地の確認が必要です。

場合によっては所有者に確認します。

越境を放置したまま、売買することはトラブルの元です。

査定の段階でも把握しておくことが重要になります。

4、境界杭の確認

測量が行われていれば、境界を示す杭が埋められています。

地積測量図を活用して境界杭の確認が必要です。

実地調査をしたうえでの査定は境界を確認します。

境界杭が何かの事情でない場合は、再度設置することが解決方法です。

境界で紛争があると隣地所有者との関係に影響があるほか、販売活動や売買契約にも影響を与えます。

早い段階で確認することが重要です。

まとめ

法務局は堅いお役所のイメージがあります。

かつてはそのイメージ通りでしたが、近年は窓口対応も非常によくなりました。

法務局での調査を知らない人が行ってもきちんと対応してくれます。

法務局は不動産情報の宝庫です。

不動産関係の仲介業者や司法書士が活用するのも法務局に多くの情報があるからです。

前もって査定に必要な資料を取り揃えておけば、スムーズに進んでいきます。

法務局を知ることによって不動産により詳しくなりましょう。

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