注文住宅を建てようとすれば、まずは土地探しからスタートすることになります。
しかし、まったく無防備な状態で探すと、とんでもない外れ物件を購入することになりかねません。
どのようなポイントに注意して土地を探せばいいのか詳しくみていきましょう。
また、本文に入る前にあなたに一つ質問をさせてください。
「ハウスメーカーを選ぶ際に最も大事なことは何だと思いますか?」
もちろん正解は一つではありませんが、私は「しっかりとハウスメーカーの特徴や違いを理解し、比較・検討した上で絞り込むこと」だと考えています。
住宅業界で働いた経験があるような人以外は、ハウスメーカー毎にどういった違いがあるのか理解している人は少ないはずです。
それぞれの会社の坪単価やデザイン性の違い、耐震性や気密性・断熱性、購入後のアフターフォローに間取りの自由度、木造なのか鉄骨造なのかなど違いは多岐に渡ります。
事前にしっかりと情報収集を行わずに、いきなり住宅展示場等に足を運び、フィーリングで依頼するハウスメーカーを決めてしまう。
このような人は、「もっと自分の条件にあったハウスメーカーがあった・・・」と後から気づき、一生後悔するような羽目になります。
マイホームは人生でもっとも大きな買い物です。面倒だからといって事前の下調べや比較・検討を怠ることは絶対にやってはいけません。
ネットでの情報はもちろんのこと、より一次情報に近い信頼性の高い情報に多く触れるようにすることで、ハウスメーカーを選ぶ目が養われていきます。
またハウスメーカーの多くは、無料でカタログや資料請求ができるので、少しでも気になった業者からは積極的に資料を取り寄せるようにしましょう。
(カタログや資料の中には、Webサイトには掲載されていないより具体的で有益な情報が掲載されています。)
最初のころはどのハウスメーカーもそれぞれよく見えるのですが、情報を仕入れていくにつれ、それぞれの違いや自分にとっての良い・悪いが分かるようになるので。
ただし、何社ものハウスメーカーにいちいち資料請求をするのは、面倒ですし手間がかかるもの。
最近ハウスメーカーを選ぶ人の中で主流になっているサービスが、東証一部上場の「LIFULL HOME’S」が提供している「無料カタログ一括請求サービス」です。
0からハウスメーカーを絞り込まなくても、予算やローコスト住宅などのテーマ、建築予定のエリアを選ぶだけで、条件にあったハウスメーカーがピックアップされます。
利用料はもちろん無料ですし、資料請求をしたからといって、迷惑でしつこい営業に悩まされる心配もありません。
少しでも気になったハウスメーカーがあればひとまず資料を請求してみることで、最初は考えてもいなかったハウスメーカーの中に、自分の条件とぴったりマッチした出会いがあることも多いです。
大手や地場の工務店などの先入観を取り払い、フラットな目線でいろいろな情報を取り入れてみてください。
よく読まれてるおすすめ記事ハウスメーカーランキング2021〜住宅メーカーの坪単価や評判と宅建士が教える選び方
しっかりと比較・検討を重ねた上で依頼したハウスメーカーであれば、間違いなく依頼後も納得がいくはずです。
スマホやPCから3分もあれば依頼ができるので、ほんの少しの手間を惜しんで、一生後悔するようなことの無いようにしてくださいね。
それではここから、本文に入っていきましょう。
検索エリアを絞る
注文住宅を建てる土地を探そうとすれば、まず検索するエリアを絞らないことには、なかなか目的に到達できません。
そのためには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。
予算計画を立てる
注文住宅の土地を探す際に、まず行うことが予算計画です。
建売住宅だと土地と建物を合わせた金額が提示されますが、注文住宅の場合は、土地と建物をそれぞれ別々に算出することになります。
自分が建てたい家の規模がどのくらいのもので、工事施工はどこに依頼するのかといったところから、住宅を建てる費用を算出します。
そうすることで初めて土地に費やせる予算が確定するのです。
優先順位を決める
都心部に勤める人の場合、理想の通勤時間と土地の広さは両立しません。
広々とした土地を選べば、どうしても通勤時間は長くなります。
その兼ね合いをどうするのかということで、検索する土地のエリアは随分異なってくるものです。
また共働きを予定しているのであれば、保育所などの子育て環境が整っている自治体であることが重要な要素になってきます。
その他、治安や日当たりなど気になる要素を挙げておき、優先順位をつけることで検索するエリアがかなり絞られてきます。
道路に関するポイント
住宅を建てる土地を選ぶ場合、まず敷地が道路に接していることが基本になります。
そんな道路に関するポイントをいくつか紹介していきましょう。
ポイント1:道路ではないことがある
住宅を建てようとする敷地は、必ず道路に2m以上接していないと建築確認申請が通りません。
そんなことは現地を見れば一目瞭然だと思われるかもしれませんが、実は現地を見ても分からないことがあるのです。
建築基準法上の道路というのは、国道、県道、市道などの官公庁が管理する道路や開発道路、区画整理の道路、位置指定道路で4m以上の幅員を有するものです。
神社の参道、農業用道路、産業用道路等、きちんと舗装されていて大型車両も通行する立派な道なのに、建築基準法上の道路でないものは、数多くあります。
目的の土地の道路が、建築基準法上のどの種類の道路に属するのかについては、自治体の建築指導担当部署で地図を縦覧しないと分かりません。
自治体によっては、この地図をホームページにアップしていることもありますので、見た目に惑わされず、必ず自分の目で道路であることを確認しておきましょう。
ポイント2:見た目は道路なのに、実は旗竿状敷地(路地状敷地)だった
開発道路や位置指定道路の造成主である会社は、新設した道路に接する宅地を販売するのが本来の目的です。
まとまった土地の中で、できる限り商品である宅地を増やし、売り物でない道路の面積を極力減らしたいと考えています。
このため開発道路の端部に旗竿状敷地を繋げることがあります。
旗竿状敷地の通路部分は最低2mあればいいので、幅員6mの道路だと3敷地接続できることになります。
この3本の通路をまとめて開発道路と同じ仕様で仕上げれば、見た目は立派な道路に見えますから、傍目には旗竿状敷地とは分からないのです。
そのためこのまま使用していけば日常生活に支障はありません。
しかし、いくら見た目が道路であっても、建築基準法上の道路でないかぎり、所有者が自由に敷地境界塀を設置することは可能です。
将来それぞれの所有者が自己敷地を主張するために敷地境界線沿いにフェンスを構築すれば、たちまち本来の旗竿状敷地になってしまうのです。
このような不安定な状況を避けるためにも、現地の見た目だけで判断するのではなく、実際にどこまでが道路なのかを自治体の図面で確認することが重要です。
ポイント3:目の前にあるのに接道していないこともある
位置指定道路を造成する場合、道路に接する土地所有者の同意が必要になります。
ところが、中には絶対に同意しないという地主もいます。
道路を造成する側としては、早く工事にかかりたいので、この地主の土地に接しないよう、故意に10㎝くらいの隙間を設けて道路を造成することがあります。
このような経緯のある土地を購入すると、目の前に道路があり、自由に行き来ができるのにもかかわらず、法律上は接道していないということがあり得るのです。
これを避けるためには、法務局で公図を確認する必要があります。
購入予定敷地と道路の間に細長い土地が存在していたら要注意です。
ポイント4:道路は公道の方がいい
市域に住んでいれば、公道は市の土木事務所が管理しています。
もし公道が陥没したら、土木事務所がただちに応急補修をしてくれることになっています。
あるいは道路上に正体不明の物体が放置してあれば、土木事務所が撤去をしてくれます。
しかし私道の場合、道路の陥没や不法占拠などの事態が発生したら、すべて道路所有者が解決をしなければいけません。
もし道路の陥没が原因で第三者が自転車で転倒すれば、賠償問題にも発展することがあるのです。
かといって、道路である限り、勝手に通行止めをすることもできません。
将来に精神的な負担を残さないためにも、できることなら私道の所有者になることは避けた方がいいでしょう。
そのためには、公道に接している敷地を選択することが望ましいのです。
開発道路は工事完成後すみやかに公道に移管されることが多く、それは開発許可書の中でも明らかにされています。
一方、位置指定道路は公道に移管する可能性はかなり低いので、ほとんどが私道のままです。
ポイント5:道路幅員は6m以上がよい
最低4mの幅員があれば道路として認められるので、諸条件が整えば建築をすることができます。
しかし、この幅員が4mぎりぎりの道路は、何かと不都合なことが多いのです。
たとえばどこかに宅配便の車や大型車両が駐車していたら、たちまち他の車が通行不能になってしまいます。
日常的にこうしたことが続けば、結構なストレスです。
住宅を建てる際にも、道路斜線が厳しくなるため、思っていたプランが建てられなかったり、天井を一部下げたりといった変更を余儀なくされることがあります。
また道路を挟んだ向かい側に少し高めの家が建つと、せっかく南向きの家なのに、冬場は日影になってしまうという事態もあり得るのです。
道路幅員が6m以上あればこうした事態は避けられます。土地を選ぶ際は、前面道路の幅員にも着目しておいた方がいいでしょう。
ポイント6:幹線道路に2方向避難できるか
1970年代には、ミニ開発と呼ばれる総面積1千平方メートル以下の敷地の造成が各地で行われました。
開発許可を要しない無秩序な都市開発が進行したために、当時造成された道路は、幹線道路から複雑に道が入り込んでおり、かつ長い距離を進んだのに最終的には行き止まりだったということが多々あるのです。
地震や大火災などの災害発生時に、幹線道路に通じる道が一本しかないというのは心許ないものです。
前面道路が左右両方向それぞれ幹線道路に通じる2方向避難が可能な土地を選ぶと安心です。
安全で安心して暮らせるポイント
注文住宅を建てるには、敷地周辺の環境や安全性も重要な課題となります。
どのようなポイントに注意して敷地を探せばいいのかみていきましょう。
ポイント7:用途地域は将来を守る重要な手立て
近隣にパチンコ店や葬儀場が建設されることが判明すると、地域全体で反対運動が巻き起こることがあります。
しかし、表面化した計画は合法的であるため、反対運動をまったく意に介さず完成に至ることが多いのです。
自分の望まない施設が近隣に建つのを回避するためには、用途地域の選択が重要です。
第一種低層住居専用地域であれば、こうした施設が建つことはありません。
用途地域は12種類ありますが、このうち住居系に分類されるのは6種類です。
しかし、純粋な意味で一戸建ての住宅が建つ環境を維持できるのは、第一種と第二種の低層住居専用地域のみです。
これら用途地域の次に厳しいとされている第一種中高層住居専用地域では、児童相談所や老人福祉施設、500平方メートル以下の飲食店、物販店を建てることが可能になります。
何より高さの制限が緩くなるので、隣地に4階建て以上の建物が建つ可能性があります。
ポイント8:安全な敷地を選ぶ
近年悲惨な土砂災害が目立っています。
安全な敷地を選ぶという観点からいけば、崖地の近くの敷地は避けた方がいいでしょう。
通常の土質だと、自然の状態で崩れない安定角度が30度だとされています。
敷地の近くに崖地があった場合、少なくとも、この角度から少し余裕を持った距離である高さの2倍以上離れた土地を選択しましょう。
また購入候補の土地が崖地の上にある場合は、崖地の縁から高さの2倍以上離れた土地を選択しましょう。
ポイント9:昔の地形を調べる
建物を建てる場合、基礎が固い地盤に到達していることが望ましいので、ポーリングによって支持層を探り当てます。
多少支持層が深い程度であれば、鋼管杭を打って支持層に到達させることもあります。
しかし中には支持層が相当深いために、周辺の地盤を強化する地盤改良を行って建築することがあります。
しかし液状化現象などに対応するためにも、基礎が支持層に到達している方が安心度は高いのです。
たとえば昔池だった土地や谷間だった土地は、埋め立てを行っているために、支持層は相当深い位置にあることが容易に予測がつきます。
少なくともこうした土地は購入を見合わせた方がいいでしょう。
土地の過去の形状を突き止めるためには、昔の都市計画図(白地図)を調査します。
歴代の都市計画図は、自治体の都市計画関連部署か情報公開関連部署に保管しています。
造成前の地形図を確認して、当該地が池や谷でなかったか確認をしましょう。
ポイント10:敷地境界が画定している土地を選ぶ
土地を購入する場合、法務局で地積測量図を入手して、現地の敷地境界標と照合しましょう。
境界標が現地に打ち込まれていない場合や地積測量図と整合しない場合は、必ず近隣トラブルになり、最悪訴訟に発展することもあります。
敷地境界があいまいな土地は、迷うことなく購入は見合わせましょう。
まとめ
ここまで注文住宅の土地を探すポイントについて説明をしてきましたがいかがでしたでしょうか。
一見簡単に思える道路と敷地の関係ですが、42条2項道路や43条ただし書き通路など、まだまだ複雑な問題があります。
道路の種類を見誤ると、高価な土地が一瞬で無価値なものになりかねません。
道路の種類は不動産会社の資料にも記載されていますが、こうした調査をするのは、不動産会社の新入社員であることが多く、必ずしも正確に情報を入手しているとは限りません。
注文住宅の土地を購入したのに、いろいろな規制で思ったとおりの家が建てられなかったという事態にならないよう、道路に関する情報は、必ず自分の目で確かめるようにしましょう。
また敷地を取り巻く環境も重要な課題です。
周辺に工場が見当たらなくても、風向きによっては異臭が漂うこともあります。
高圧電線の位置や騒音、それに近隣の人間関係などは、不動産会社の資料では読み取ることができません。
購入候補の土地が見つかった際には、必ず何度か現地に足を運び、自分の五感で安全性と快適性を確認しましょう。
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